海水魚水槽失敗しない構築方法

海水水槽で失敗しない構築方法について結論から先に申し上げます。
最も多い失敗原因は、病気になり死んでしまうことです。
海水水槽にサンゴと海水魚両方を飼育することで、飼育難易度は急激に上昇します。

皆さんが目標とするのは、病気の出ない水槽を作ることだと思います。しかし、海水魚が病気ならない環境を作ることは趣味レベルでは不可能です。
私が推奨する方法は、病気が発生した場合に治療ができる環境を構築することにあります。
これらから詳しく失敗しない海水魚水槽の構築方法を解説していきます。

Point

海水魚飼育初心者だからこそ費用は掛かるがオーバーフロー水槽ので飼育が簡単でおすすめします

海水水槽は総水量が正義

海水魚水槽の飼育難易度を大きく左右すのは総水量です。10Lの水槽と100Lの水槽どちらが水質汚染に強い耐性があるか想像すれば答えは簡単ですよね。

水質汚染を緩和する大型のプロテインスキマーなどを利用できる

初心者の方は、うまく飼育できないのではと考え小型水槽でスタートしがちですが、総水量の多いオーバーフロー水槽は水質汚染に強く、大型のプロテインスキマーなども利用できるだけでな、ヒーターなどもサンプ(濾過槽)に隠すことができるためおすすめです。

飼育が上手くいかず結果的に高くつくこともある

海水魚は淡水魚に比べ価格は安くないため、初期費用を気にして小型水槽でスタートし飼育に失敗し海水魚を死なしてしまうことを考慮すると、結果的に安くなるケースも少なくないため注意が必要です。

Point

海水魚水槽のレイアウトは容易に解体でき取り出しできるようにする組む

海水魚水槽のレイアウトの必要性と考え方

海水魚水槽のレイアウトにライブロックや擬岩などを利用されると思います。レイアウトは海水魚が縄張り争いの際に逃げ込める場所として利用され、夜間には寝床としても利用されます。寝床を争ってケンカが勃発しますが、狭い水槽ないでの飼育では致し方ありません。
水槽内に何もいれいない場合、隠れる場所がないだけでなく、寝る場所もないと海水魚にとってかわいそうなことになります。
飼育される海水魚たちのストレス軽減のためにも必ずライブロックや擬岩、もしくは塩ビパイプなど寝床を用意してあげましょう。

初心者ほど凝ったレイアウトにしたがるが飼育失敗への第一歩です。

初心者の方ほど水槽のレイアウトを凝りたがります。海水魚水槽では凝ったレイアウトはデメリットにしかなりません。
サンゴ飼育と違い、大量の餌を投入する海水魚水槽では苔の原因となる硝酸塩・リン酸塩が蓄積していきます。
ライブロックや擬岩などにコケを生やすことなく飼育するのは不可能です。
そのため、レイアウトされた岩を水槽から取り出し、コケ掃除ができるようにすることを前提にレイアウトを組むことで少ない労力で綺麗な水景を維持することができます。

おすすめのレイアウト素材は着色された擬岩

デスロック(ライブロックを乾燥させたもの)やセメント擬岩などを塗料で着色したものがおすすめです。ライブロックなどのように水質浄化作用を目的とせずに、単純に隠れることのできる寝床として配置しておき、コケがひどくなると取り出してブラシで掃除するか、塩素を利用してコケを取り除くなどの方法で水景を維持する方法を推奨します。

Point

白点病・トリコディナなどの病気が発生した時のためにサンゴ・エビ・貝・カニは入れない

 海水魚水槽で病気が発生しない水槽を作ることは無理

初心者・上級者問わず、海水魚を飼育して病気がでない水槽を作ることはできないと思ってください。病気は出るものと考え、海水魚が白点病やトリコディナなどの病気に感染した場合に素早く治療できる水槽環境を構築することがもっとも重要です。

殺菌灯では病気を治すことはできない

殺菌灯は必要ですかと質問がよくあります。殺菌灯は水質に影響を与えることなく水槽内の菌数を減らすことができる優秀な飼育機器ですが、効果的に利用するのが難しい機器でもあります。
殺菌灯は254nmの波長の紫外線(UV-C)を放射し、DNAを損傷させることで細菌やウイルスを殺菌する効果があります。しかし、省スペース化の影響で紫外線と飼育水の接触時間が短く効率的な運用ができていない場合がほとんどです。
ゆっくりと殺菌灯に飼育水を循環させれば殺菌効果を得ることができますが、メインの循環ポンプなど流量の多い配管に設置されるケースがほとんどで殺菌きを目的とした運用という意味では効果は感じられないでしょう。
また、感染した海水魚に紫外線を照射するわけではないため、治療効果はありません。
殺菌灯を導入しないよりは良い程度の効果しか期待できません。

オキシドールなどの都市伝説的治療ではなく、硫酸銅・銅イオンなど確実に効果のある治療を行う

エビ・貝・カニなどの甲殻類、サンゴなどの無脊椎を海水魚水槽に入れない方がいいという理由がこれです。海水魚は白点病の感染による死亡がもっとも多いといえます。白点病の治療には都市伝説的な治療法がたくさん存在し、簡単に思い浮かぶだけでもオキシドールによる治療、唐辛子による治療、低比重による治療などがあります。
これらの民間療法は、海水魚とサンゴを一緒に飼育している水槽で利用されている方法という共通点があります。
サンゴ(無脊椎動物)エビ・カニ・貝(甲殻類)は、少量の銅イオンの投入で死亡します。そのため、サンゴ、エビ・カニ・貝が死なないもので効果がありそうなものを治療に使い広まった民間療法がこれらの治療方法です。

これらを利用して治療できた例はあるかもしれません。しかし、私の10年間海水魚専門店を経営した経験で断言します、効果はありません。

素直に硫酸銅・銅イオンを利用するのがもっとも簡単で効果的です。

海水魚初心者の飼育上達は、硫酸銅・銅イオンの使い方をまずは覚えることをおすすめします。

海水魚初心者が白点病を治療する環境が構築できれば、だれでも簡単に飼育できると断言できます。
銅イオンや硫酸銅での治療はダメだというショップも聞きますが、そのようなお店での購入はおすすめできないばかりか、飼育相談すらすべきでないといえます。白点病に感染した場合、早期治療がもっとも大事です。初期症状の段階で銅での治療をすれば、感染拡大を防ぐことができ数日で海水魚の体表から白点がなくなります。初動が遅れるとシストがばら撒かれ爆発感染がおこり治療期間も長くかかります。
サンゴ、エビ・カニ・貝を水槽内に入れないことで、いつでも銅を水槽に投入して治療を行えるように飼育環境を構築することをおすすめします。

Point

プロテインスキマーよりも生物ろ過を強化して病気を予防しよう

プロテインスキマーではアンモニウム・アンモニアを処理できない

海水魚飼育初心者はプロテインスキマーを理解していない方が多いです。水槽のろ過は物理ろ過、生物ろ過、化学ろ過の3種類あります。
物理ろ過はウールマットやフィルターバックなどを利用して、餌や糞などをろ過します。
物理的に漉しとることが目的であり海水魚水槽ではもっとも重要です。

プロテインスキマーは、物理ろ過では対応できない水に溶けたタンパク質汚れなどを泡と結合させて浮き上がらせて取ることを目的としています。
水中のタンパク質を除去しアンモニアになる前に飼育水から排出し、水質の悪化を防ぐ効果がありますがアンモニアを取り除いたり、無害化するような浄化能力はありません。
プロテインスキマーですべての汚れを取り除くことはできず、必ずアンモニアを分解する硝化細菌の力を利用する必要があります。

海水魚水槽はpH値が8以上あり、比較的無害なアンモニウム(NH4)は有害なアンモニア(NH3)に変化します

海水魚が淡水魚よりも難しいといわれる理由はアンモニアにあります。市販のアンモニア測定キットはアンモニウムを測定するものです。
アンモニアとアンモニウムはpH値により変化します。淡水水槽は砂の代わりにソイルを利用することが多く、pH値が5から7程度の場合が多いと思います。
pH値が低いとアンモニアはアンモニウムに変化し、pH値が高いとアンモニウムはアンモニアに変化します。
初心者には混乱する内容ですが、海水はアンモニウムがアンモニアになり毒性が高くなると覚えてください。
そのため、アンモニア中毒で海水魚の呼吸器である鰓を傷つけるなどの問題が発生します。

硝化細菌(バクテリア)を利用してアンモニア・亜硝酸を無害化しよう

海水魚飼育の成功の秘訣は、硝化細菌(バクテリア)の繁殖と活動を活発化させるにあります。
ネプチューンキューブやレッドシーなどのオーバーフローシステム水槽は、サンゴ飼育を意識して設計されているため海水魚飼育に特化した設計ではありません。サンプ(濾過槽)は、プロテインスキマーを設置することを前提に設計されており、アンモニアや亜硝酸を処理する生物ろ過を行う専用スペースは設けられていません。
海水魚水槽初心者の多くは、プロテインスキマーを設置してろ過材を入れないシステム構成で飼育されています。
水槽には砂は入れず、サンプ(濾過槽)にはろ過材を入れない、いったいどこでアンモニアや亜硝酸で有害になった飼育水をきれいに浄化するのでしょうか?
プロテインスキマーを設置してサンプ(濾過槽)に空きスペースがない場合は、外部フィルターなどを利用して生物ろ過を行うフィルターを追加してください。

オーバーフロー水槽以外の小型水槽で飼育する場合、おもちゃみたいなプロテインスキマーを導入するよりも、外部フィルターで生物ろ過を強化してください。

初心者が購入するプロテインスキマーといえば外掛け式になると思います。はっきり申し上げてお金の無駄なので購入は避けるべきです。
海水魚の飼育において重要なのは生物ろ過であり、プロテインスキマーではありません。
プロテインスキマーを導入するのであれば、外部式フィルターを購入して生物ろ過を強化することをおすすめします。
また、水槽内の酸素濃度が低下するためプロテインスキマーが必要ですと説明しているサイトもありますが、循環ポンプで飼育水が循環している水槽で酸欠になることはありません。